私が役者をやっていた頃、
マルセ太郎さんという芸人さんと
何度かご一緒させていただきました。
(スタッフとして)
本人の希望もあり、
あまりテレビに出られない方なので、
ご存知の方も少ないかと思います。
昔、渋谷にジャンジャンという劇場があり、
すぐにチケットが売り切れになる方で、
作家の永六輔さんを初め多くの芸能人の方が
通われたと言われています。
古舘伊知郎さんの
トークライブ「トーキングブルース」は、
マルセから大きな影響を受けており、
両者は師弟関係に近い間柄であった。
とも言われています。
そんな、マルセ太郎さんは
肝臓がんで2001年1月22日に
67歳でお亡くなりになられました。
実は、マルセ太郎さんの最後の舞台は広島で
公演のお手伝いをさせていただきました。
マルセ太郎さんと食事をしている時、
「男は二十歳を超えたら、自分の顔に責任を持て、
二十歳までは親が作った顔、
二十歳からは自分が作った顔だ。
俺の顔はどうだ!」
と言われたので、
大笑いしたら、怒られました。
そんなマルセ太郎さんと
当時小学生だった女の子とのやりとりが、
朝日新聞の記事になっていました。
朝日新聞「声」欄 2002年1月10日
[私に問いかけ 12年前の手紙]
高校生小川なつき(宮崎市、18歳)
先日、母が「こんなものが出てきたよ」と古ぼけた封筒を差し出した。
故マルセ太郎さんからの手紙だった。
12年ほど前、マルセさんのお芝居を母と見に行き、
その感想を書いて出したら返事を下さった。
「がっこうのべんきょうもがんばってください。
べんきょうをがんばるのは、ひとにかつことではありません。
おとなになったとき、よわいひとのたちばにたって
ものごとをかんがえるようになるためです。
つよいということは、よわいものをいじめることではなく、
よわいひとのためにたたかえることです。
つよくやさしいひとになるため、べんきょうしてください」
当時7歳だった私にはよく分からなかったが、
今読み返してみて、とても考えさせられた。
私は受験生で、がむしゃらに勉強している。
しかし何を目標に勉強しているのだろう。
弱い人のためだろうか。
大学に入り、自分の夢をかなえるためだけではないだろうか。
果たして、それでいいのだろうか。
マルセさんは、12年越しに私に問い掛けている。
と紹介されています。
なぜ、勉強しているか?
「お父さんみたいにならないように」
と言われないように頑張ります!